--.--.-- (--:--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2010.10.13 (17:32)
POSTED BY ねこやま
アスファルトの上のすずめ

 ときどきおもいだす。
 
 わりと交通量の多い道の路面に、なにかがベッチャリと貼り付いていた。
 その上を、すずめが一羽、車を避けながら不自然に滞空している。
 行き交う車が途切れる、そのほんのちょっとの隙を狙って、すずめは、地面に貼り付いたなにかへと、何度も何度も近寄っていく。
 ちょっと変わった光景だった。気になって、足を止めた。
 地面に貼り付いているのも、すずめだとわかった。
 ぺちゃんこになっている。あまり血もにじんでいない。
 死んだ仲間のまわりを、すずめが飛びまわっていて、離れていかないのだった。
 車が通ると避ける。車が去るとまたそばへ寄る。
 チュンチュン、チュンチュンと鳴きながら、いつまでもおなじことを繰り返している。
 潰されて、死んで、アスファルトに貼り付いたすずめは、もちろん、なにも応えない。
 風にあおられて、路面から微かに浮いた羽が、時折ぴらぴらと動くだけだ。
 チュンチュン、チュンチュン。
 鳴いている。離れない。
 何度もタイヤの下敷きになるような位置ではなかったのだけれど、いずれおなじラインを通る車が現われるかもしれない。ぺちゃんこになったすずめの身体を、別の車が更にまた押し潰していくかもしれない。
 そのうちそうなってしまうのだろうと予想しつつも、ぼくは、そんなことしないでほしいと強くおもった。
 こんな死に方をしたすずめに、これ以上なにかしないでほしい。
 鳴きながら周囲をまわって離れないでいるすずめに、これ以上のものを見せないでほしい。
 なにものかに祈った。
 
 
 十年以上前の出来事なのだけれど、まだわすれないようだ。
 
 チュンチュンと絶え間なく鳴いていたあのすずめは、だれに、なにを、言っていたのだろう。
 車は減らなかった。
 すずめは、ずっと、そこにいた。
 

Comment

Secret

TrackBackURL
→http://nhlabo.blog96.fc2.com/tb.php/46-d09101dd

 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。